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レビュー:空の青さを知る人よ【感想・評価】(ネタバレ配慮)

2019年10月11日に公開されたアニメ映画、
「空の青さを知る人よ」のレビューです。

※未視聴の方への配慮として致命的なネタバレは避けています。


概要



【あらすじ】

”「過去と現在をつなぐ、切なくてちょっと不思議な“二度目の初恋”物語。

山に囲まれた町に住む、17歳の高校二年生・相生あおい。将来の進路を決める大事な時期なのに、受験勉強もせず、暇さえあれば大好きなベースを弾いて音楽漬けの毎日。そんなあおいが心配でしょうがない姉・あかね。二人は、13年前に事故で両親を失った。当時高校三年生だったあかねは恋人との上京を断念して、地元で就職。それ以来、あおいの親代わりになり、二人きりで暮らしてきたのだ。あおいは自分を育てるために、恋愛もせず色んなことをあきらめて生きてきた姉に、負い目を感じていた。姉の人生から自由を奪ってしまったと…。そんなある日。町で開催される音楽祭のゲストに、大物歌手・新渡戸団吉が決定。そのバックミュージシャンとして、ある男の名前が発表された。金室慎之介。あかねのかつての恋人であり、あおいに音楽の楽しさを教えてくれた憧れの人。高校卒業後、東京に出て行ったきり音信不通になっていた慎之介が、ついに帰ってくる…。それを知ったあおいの前に、突然“彼”が現れた。“彼”は、しんの。高校生時代の姿のままで、過去から時間を超えてやって来た18歳の金室慎之介。思わぬ再会から、しんのへの憧れが恋へと変わっていくあおい。一方で、13年ぶりに再会を果たす、あかねと慎之介。せつなくてふしぎな四角関係…過去と現在をつなぐ、「二度目の初恋」が始まる。

公式サイトより)


評価 78

空の青さを知る人よ
~超平和バスターズ最後の作品~

今回はちょっと大人向け。
あの花、ここさけに続く、超平和バスターズ最終作


長井龍雪×岡田磨理のコンビが秩父を舞台に描く、「超平和バスターズ」シリーズ。
本作は第1作目「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」、第2作「心が叫びたがってるんだ。」に続く、第3作目となります。

メインキャラに31歳の男女を採用していることからも分かるように、これまでの作品と比べると対象年齢は少し高いです。

雰囲気としては一般向けのアニメ映画ですが、作風が感性に合うかどうかによる面白さの揺れ幅が、比較的大きいタイプの作品でもあると思います。

そのため、内容へ対する共感の度合いによって、大きく評価は変わってくるでしょう。

この記事ではそういった点に触れながら、「空の青さを知る人よ」という作品をレビューしていきます。




【良い点】

【ストーリー】
過去の自分と対峙するというアイデア


「空の青さを知る人よ」という作品のアイデンティティは、
主人公の一人である慎之介の前に過去の自分である“しんの”が現れるという点にあります。

ビッグになることを夢見て上京したものの、世間の荒波によって挫折し、30歳を過ぎた現在、演歌歌手のバックミュージシャンをやっている慎之介 。
そんな半分投げやりになっている彼の前に、まだ真っすぐだった頃の過去の自分が現れる。

これは完全にファンタジーであり、なぜ“しんの”が現れたのか等の説明も特にないため、人によっては受け入れがたい要素かもしれません。

ですが、この設定こそが本作のキモであり、現在と過去の自分が同時に存在し対峙することで、それが共感を呼び感動へ繋がる展開を可能にしているように私は思います。

ただ過去を振り返って哀愁を呼び起こすような作品は他にいくらでもあります。
“しんの”というファンタジー要素があったからこそ、より深く感情に訴えかけるストーリーに仕上がっているように感じました。

またあの花やここさけと違い、本作は主人公として大人が登場する大人の物語でもあるので、大人が感情移入しやすい物語でもあったように思います。
この点も、個人的に好印象でしたね。


【音楽】
あいみょんの楽曲は素直に好印象


音楽面に関しては、あいみょんの主題歌がとにかく素晴らしい。
あいみょんの歌う挿入歌は一番の山場で流れるんですが、あれがストーリーを大きく盛り上げてくれたと思います。

正直、歌の力に頼ってる感もあって「ちょっとセコイなー」とも感じますが、あんなシーンで流れたら見てる方としては乗せられてしまって、細かいことなんてどうでもよくなります(笑)。

それと、あいみょんのハスキーボイスは作品の雰囲気に良く合っていて、そういった意味でも非常にマッチした選曲だったと思います。
ED曲の「葵」もあいみょんが歌っていますが、こちらも良かったですね。

純粋に曲としても良く、さすがは今一番旬なアーティストの一人だなという印象です。


【キャラクター・演出】
俳優が声を当てる事に対する可能性を感じた


本作の慎之介と“しんの”の二役は、俳優である吉沢亮さんが声を当てています。

個人的にアニメの声を本業の声優さんではなく俳優の方が担当することに関しては、あまり良い感情を持っていません。

「アニメ声優は媚びた感じがして嫌」という意見もあったりしますが、私は俳優さんが声を当てることによって起こるデメリット(棒読みとか)の方が大きいと思っています。

しかしこの作品の吉沢さんに関しては、全く違和感を感じないレベルで上手かったです。
そして声質もキャラにちゃんと合っていたため、文句なしの配役だったと感じます。

ただの人気取りで俳優を引っ張ってくるのではなく、本作のように声優としての能力が高い人にやってもらうのであれば、「一般向け映画にアニメ声優は合わない」という意見への回答にもなるし、良いのではないかと思いました。

俳優が声を当てることに対する、可能性を感じましたね。


【キャラクター】
ヒロインは三部作の中で一番好き


超平和バスターズ三部作の中では、本作のあおいがデザイン的に一番好きです。

性格に関してはちょっと難アリというか酷いなと感じる部分もありましたが、そこがまたリアリティがあるといいますか。
オタクに媚びていない点は好印象でしたね。



気になった点

【ストーリー・構成】
展開に不自然な部分がある


この作品のストーリーは何と言いますか、、、
あらかじめ描きたいシーンがスタッフの中にあって、そのためのストーリーを後から考えたみたいなところがあるから、話の流れとして不自然な部分が所々あったように思います。

特にクライマックスの部分に関しては、冷静に考えるとキャラの行動に大分違和感があります。
見ている分にはそんなに気になりませんでしたけど。

演出で誤魔化している感があるため、作風が合わず演出に乗れない人ほど、この部分は気になるんじゃないかと思いますね。


【ストーリー・演出】
良くも悪くもノスタルジーに訴える作品


この作品は31歳の慎之介と18歳の“しんの”の考え方を対峙させることによって、見ている人が若い頃の気持ちを思い出したり、過去を懐かしんだりするような、ノスタルジックな共感を狙った作品です。

そのため、恋愛アニメとしての面白さもあるとはいえ、若い人には大人ほど刺さらないだろうな、というのがまず一点。

それと仮に大人であっても、若い頃に全く良い思い出が無い人や、今が人生のピークという人もいるわけで、そういう人が同じように楽しめるのかは些か疑問です。

ノスタルジーな価値観に共感できない人にとっては、あまり楽しめないアニメのように思います。


【キャラクター】
クセの強いメインヒロイン


私個人としては、メインヒロインである葵に対してどちらかというと好印象を持ちましたが、クセが強く、性格も悪いと言えるレベルであるため、嫌悪感を抱く人は一定数いると思います。

暴言を吐いていて、しかも謝らなかったりと、「それはどうなの?」って思うシーンは結構ありましたからね。



総評



個人的には超平和バスターズ三部作の中で一番好きな作品です。
年齢的なこともあってか、三作の中で一番メッセージが心に響きました。
見終わった後の余韻は凄く良かったです。

ストーリーに関しては結構突っ込みどころも多く、決して手放しで称賛できる作品ではないと思いますが、私はとても良かったと思います。
視聴後は清々しい気分になれました。

主題に共感できるかによって大きく面白さが変わるタイプの作品なので、刺さる人には刺さりますが、分からない人には分からないでしょう。
評価として身も蓋もないですがw

ただ、作画や音楽などの質は高く、アニメーションとしてのクオリティは間違いなく高いです。
そのため、あらすじや設定を読んで「面白そう」と思えたなら、見てみる価値はあるアニメだと思います。

私個人としては、十分良作に分類できる作品だと感じました。



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映画『空の青さを知る人よ』公式サイト
https://soraaoproject.jp/


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