2019年11月15日ブログオープン!

レビュー : 新世界より【感想・評価】


2012年9月から、2013年3月にかけて放送されたTVアニメ、
「新世界より」のレビューです。

【あらすじ】

「偽りの神に抗え。」

1000年後。かつて茨城と呼ばれていた地域の南端に広がる人口3000人ほどの町・神栖66町。和貴園と呼ばれる小学校に通っていた早季は、潜在的に人間に備わった超能力”呪力”の発現のため、利根川上流の隠れ寺・清浄寺での神聖な儀式に臨む。

それから数日後、早季は本格的に呪力を学ぶ上級学校・全人学級にいた。今後行動を共にする同じ班のメンバーは、和貴園からの親友である瞬、真理亜、覚、そして別の小学校から進学してきた守と麗子の5人。これから始まる希望に満ちた学園生活に胸躍らせる一同。しかし、早季だけは全人学級の雰囲気に言い知れない違和感を覚えていた。

そんな早季の不安をあおるかのように、覚がネコダマシと呼ばれる妖猫の噂を語り始める。その巨大な猫の怪物は、落ちこぼれの子供の背後からそっと忍び寄り、どこかへ連れ去るという。覚のホラ話だと自分に言い聞かせて恐怖心を紛らせていた早季だったが、やがてその周辺で不穏な出来事が起こり始める。

公式サイトより)


評価 80

【良い点】

完成度の高い世界観

一般小説、しかも日本SF大賞を受賞した作品を原作としているだけあって、
「人間が超能力を使えるようになった世界」なんていうありふれた設定でありながら、本作の描くIF世界のクオリティはかなり高く、深いです。

様々な生き物が登場する為、雰囲気的にはSFというよりファンタジーである。

人類が念力(作中での呼び名は呪力)を使えるようになったらどうなるかを、 リアリティのある世界観で、臨場感たっぷりに描いています。

今から1000年後の未来であるにもかかわらず、文明が退化してるというのも興味深く、 個々の設定に関しても上手いと感じる部分が多かった。

舞台は1000年後の茨城。田園が広がっている。

特に、根幹となる呪力関連の設定はしっかり練られていて、
それをストーリーに活かせていたのは、かなり好印象でした。

他にない世界観なのでオリジナリティもありますし、 色んな意味で魅力的な世界観だったと思います。

緊張感のあるストーリー

話が動く際の緊張感はかなりのもので、一気に引きこまれます。
特に終盤は、伏線を回収しながら盛り上がっていきますし、非常に熱中して見ることができました。

また、恐怖を煽る演出が上手く、序盤からどことなく不気味な雰囲気がありました。
そして終盤からの怒涛の展開には、戦慄させられます。

序盤は退屈だが、ミノシロモドキが語る世界の真実にはゾクゾクさせられた。

一般的なホラーとは一味違った得体のしれない怖さがあり、
そのあたりも、高評価の要因になっています。

最終的な〆も綺麗でしたし、 非常にレベルの高いストーリーだったと思います。

秀逸なキャッチコピー

偽りの神に抗えというキャッチコピーは、まず単純に言葉としてのセンスがいいと思います。
そして、その真の意味は最後まで見ると分かるというギミックになっていて、 キャッチコピーとして非常に秀逸でした。

雰囲気に合った音楽

雰囲気があって良かったです。
特にホラー描写を引き立てる演出として、かなり効果的だったと思います。
EDのイントロも好きでした。


【悪い点】

小説っぽさ

中盤までは、伏線を張りながらゆっくりと進行していくので、
小説を読むように、想像力を働かせながらじっくり見ることが好き、もしくは普段からそういう風に作品を楽しんでいるといった人以外は、退屈に感じるのではないかと思います。

終盤になると面白さの桁が跳ね上がるが、そこまでが長い。

加えて、主人公達が能動的に動く話では無いため、 途中まで話の方向性が分からないというのも、中盤までの微妙さをエスカレートさせる要因となっています。

終盤は中々の盛り上がりを見せますが、
2部までの内容は、何も考えずに見て楽しめるものでは無いです。

特に3話までは取っつきづらく、
「なんとなく手を出してみた」、というような入り方だと、
1話でつまらないと判断し、切ってしまう可能性が高いように感じました。

2話での呪力を使ったチーム対抗戦は、序盤の退屈さを象徴している。

また、一般小説が原作という事もあり、
キャラクターにアニメ的な魅力があまり無く、良くも悪くも普通です。

にもかかわらず、キャラデザは特徴のないアニメ絵って感じなので、
アニメにあまり興味の無い層に関心を持ってもらえるようなビジュアル、というわけでもなく、中途半端感があります。

全体的に、小説的な作品であり、
アニメとしての魅力に欠ける部分があったかなと思います。

分かりづらさがある

世界観が入念に作り込まれている分、序盤は世界観や設定の説明が多く、
テンポが悪く、話も分かりづらいです。
様々な伏線を張っているのも、それを助長しています。

それとは別に、尺不足からか説明不足を感じる部分もいくつかありました。
原作を読んでいないと、完全に理解するのは難しいと思います。

同性愛描写

同性愛設定は、SFならではの新しい価値観ということなのかもしれませんが、
苦手な人もいるでしょうし、感情移入の障害になってるようにも感じました。

アニメだけだと必要性も良く分からない為、不純物に見える。

男女間の三角関係であったり、友情であったりした方が、
2部での出来事に対して、没入感が増したように思います。

作画に安定感が無い

1部の後半と2部の序盤は、作画がおかしかったです。


【総評】

様々なことを考えさせられる、最後まで見る価値のある1作。

丁寧に作り上げられた世界観及び、それを活かしたストーリーが魅力のアニメ。
演出のレベルも高く、原作が持っているであろう、 緊張感や恐怖感というものを、
上手く表現できていたと思います。

ただ、視聴者に世界観や設定を伝えるやり方は上手いとは言い難く、
途中まで単純な面白さに欠ける部分があります。

原作の良さをしっかり出すために、こういう作りにしたのかもしれませんが、 伏線が回収され始めるまでは、さほど盛り上がりません。

中盤までの内容を楽しむためには、視聴者に想像力が求められるため、
分かりやすい娯楽性に乏しく、ここは人を選ぶと思います。

また、色々と考えながら見る必要があり、進行ペースもゆっくりめなアニメなので、
一週間というスパンで見るよりも、動画配信やレンタル等で一気見した方が楽しめると思います。

そのため、リアルタイムで見た人と後から見た人の意見に、齟齬が生まれそうです。
レビューなんかを参考にする際は、そのあたりに注意した方が良いでしょう。 ちなみに、私はレンタルで一気に見ました。

なんにせよ、世界観もストーリーも良く出来ているので、 作品の全体像が把握できれば、面白いと感じられる作品だと思います。
終盤が盛り上がる分、視聴後の満足感は高いアニメなのではないでしょうか。

最後までしっかり見れる人には、おススメしたい1作です。




新世界より|テレビ朝日
https://www.tv-asahi.co.jp/shinsekaiyori/