2021年2月11日に公開された劇場版アニメ、
「プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第1章」のレビューです。
※未視聴の方への配慮として、致命的なネタバレは避けています。
概要

【あらすじ】
「少女の嘘は世界を変える―」
19世紀末ロンドン。共和国のスパイ集団であるチーム白鳩に新たな任務が課せられた。
それはとある古本屋店主の共和国への受け渡し。王国により拘置所に拘束されていた古本屋店主をアンジェとドロシー、ちせの連携で奪還に成功する。
一方その頃、王国では女王暗殺未遂事件を契機に“スパイ狩り”が激しさを増し、共和国側のコントロールでは緊張が張り詰めていた。コントロールは、王国王室に派遣しているスパイが“二重スパイ”である可能性があると推測。真相を探るため、チーム白鳩に王室内に送り込んでいるスパイ、コードネーム“ビショップ”との接触を命じる。
果たして、新たな任務の行方は。そして“ビショップ”とは何者なのか―――
(公式サイトより)

評価 73点
【良い点】
【ストーリー・構成】
安心感のある作り

本作はTVシリーズの続きを描いた作品であり、設定に大きな変化などもないため、TVシリーズを見ていた人であればすんなり入っていけるはずである。
また、劇場版アニメはTVアニメと比較すると尺が短いため、TV版と比較すると内容に物足りなさを感じることも多いが、このシリーズは元々が1話完結のオムニバス形式のTVアニメだったため、違和感無く見ることができた。
作画に関しては劇場版という事でワンランク上のクオリティになっており、カーチェイスなどのアクションシーンはTV版以上に迫力があったと思う。
音楽に関しては、安定の梶浦由記という感じだ。
リッチになったTVシリーズの続きを見ているようで、とても安心感のある作りだった。
【演出・キャラクター】
おじ様キャラのオーラが良い

劇場版第1章では、チーム白鳩以外だとダンディなおじ様達が目立っており、TV版とは少し違うエレガントな雰囲気を感じた。
特にチェスのシーンは凄くおしゃれだったと思う。
また、いよいよノルマンディー公が本格的に動き出したようである。
TV版では少々印象が薄い仇敵キャラであったが、劇場版ではしっかりとキャラ立ちしており、この点に関しては素直に好印象を持った。
強敵としてのオーラも出せているので、今後もチーム白鳩が倒すべき敵として立ち塞がって欲しいところだ。
【キャラクター】
アンジュの声優さん
TV版でアンジュの声を当てていた今村彩夏さんが声優業を引退してしまった為、本作では古賀葵さんがアンジュの声を担当している。
私は声優にさほど興味はないが、主役の声が変わるというのはさすがに気がかりであり、違和感が生まれてしまうのではないかと不安だった。
しかし実際に見てみると、「あれ声優変わったんだよね?」というレベルで違和感がなく、古賀葵さんの演技力に脱帽してしまったというのが本音だ。
かぐや様でも感じたが、彼女は本当に実力のある人だと思う。
【気になった点】
【キャラクター】
スポットの当たらないキャラがいる

TVアニメの劇場版は尺が90分以上あるものが一般的なので、それぞれのキャラに見せ場を与える余裕が多少なりとも存在する。
しかし本作は50分しか尺が無く、一度きりの劇場版というわけでもないため、今回はあまりスポットが当たらないキャラというのも当然出てきてしまう。
今回は第1章ということもあって完全にアンジュとプリンセスが主役として描かれており、他のキャラにはあまりスポットが当たっていない。
そのため、ドロシーやちせなど他のチーム白鳩メンバーの活躍を見たかったという人は、少なからず不満を感じるかもしれない。
【ストーリー】
話を広げたが・・・

劇場版ではTV版では認識されていなかった、王国とコントロール以外の第三勢力の存在が語られており、世界観の奥行きが増している。
それ自体は全く悪いことではないのだが、劇場版という尺の中で果たして収集がつくのかと不安に感じてしまった部分もあった。
ただでさえTVシリーズのラストはあまり出来が良くなかっただけに、変に話を広げるとまた上手く纏められずに終わるんじゃないかと不安になってしまう。
杞憂に終われば良いが・・・。
【作画】
対人アクションは控えめ

本作はカーチェイスのシーンが多く、アクションも楽しめるアニメ映画に仕上がっているが、対人アクションに関してはほとんど描かれることが無かった。
TV版ではちせの殺陣シーンなどが大きな見所となっていたので、せっかくの劇場版なのにそこが全然見られなかったというのは少々残念である。
ただ、全6章で構成されるシリーズである以上、毎回そういったシーンを入れるわけにはいかないというのは理解できる。
今回はストーリーの都合上、そういったシーンを入れられなかったということだろう。
この点に関しては、第2章以降に期待したい。
【総評】

待望の劇場版「プリンセス・プリンシパル Crown Handler」第1章。
TVシリーズがオムニバス形式で展開されていた事もあり、劇場アニメとしては短い約50分という尺であっても、十分満足感を感じられた。
チーム白鳩に新メンバー加入といったような賛否を呼びそうな要素もないため、続きとしてすんなり受け入れられる作品だと思う。
問題があるとすれば、尺が50分と短いためあまり活躍しないキャラがいる事だろうか。
今回は第1章という事もあってか、主に主人公であるアンジュ(とプリンセス)にスポットが当たっており、他の白鳩メンバーはあまり目立ってはいなかった。
そのため、他のメンバーの活躍が劇場で見たかったという人からすれば、少々物足りなさを感じるかもしれない。
とはいえ、基本的にTVシリーズが好きだった人であれば、本作も同様に楽しめるだろう。
非常に安心感のある作りになっているので、シリーズファンにはおススメである。
↓TVシリーズのレビュー↓
2017年7月から2017年10月にかけて放送されたTVアニメ、「プリンセス・プリンシパル」のレビュー記事です。概要【あらすじ】「東西に分裂したロンドンで繰り広げられる、少女たちのスパイアクション! 」[…]
『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』公式サイト
https://pripri-anime.jp/