2019年11月15日ブログオープン!

レビュー : ピンポン THE ANIMATION【感想・レビュー】

2014年4月から、6月にかけて放送されたアニメ、
「ピンポン THE ANIMATION」のレビューです。


【あらすじ】

「ピンチの時にはオイラを呼びな!心の中で三回唱えろ!
ヒーロー見参!ヒーロー見参!ヒーロー見参!
そうすりゃオイラがやって来る!ピンポン星からやって来る!」

ピンチの時にはヒーローが必ず現れる――。
自由奔放で自信家のペコ(星野裕)。クールで笑わないスマイル(月本誠)。二人は片瀬高校卓球部。
子供のころ、ペコに誘われて卓球道場タムラで卓球を始めたスマイルはかなりの腕前だが、
今でもペコにはなかなか勝てない。そんなペコの前に、辻堂学院の留学生、孔文革(コン・ウェンガ)が立ちふさがる。
また、片瀬高校の顧問・小泉は、スマイルの能力をさらに開花されるため個人レッスンに乗り出す。
ドラゴン(風間竜一)率いる常勝・海王学園を揺るがすのは誰か。海王に通うペコとスマイルの幼馴染、
アクマ(佐久間学)も闘志を燃やす。各人の思いをよそに、インターハイ予選は近づいてくる。
274cmを飛び交う140km/hの白球。その行方が、頂点を目指す少年たちの青春を切り裂く。
ヒーローは、現れるのか――。

公式サイトより)



評価 80

【良い点】

才能をポジティブに描いたスポ根ストーリー

スポーツを描く上で、才能というものは切り離せない要素ですが、
才能をどのように描くかは、作品によって大きく異なります。

努力が才能を超えるという方向性の作品もあれば、どんなに努力しても才能のある人には及ばない悲哀を描いた作品もあります。

では本作はどうかというと、才能というものにしっかりと焦点を当てて、リアルに描いています。
そのため必ずしも努力が報われてるわけではなく、個々の才能が勝者と敗者を分けてしまっています。

ただこの作品はヒーローの存在からも分かるように、才能をポジティブなものとして捉えているのが特徴的です。

才能に焦点を当てると、劣等感や嫉妬が前面に押し出された陰鬱なストーリーになりがちですが、
本作は、才能に対する憧れや羨望という側面が深く描かれています。

そのため、スポーツのシビアさを描きつつも、爽やかさは失っていません。
そのあたりのバランスは秀逸だと感じました。

また本作においては勝者が一方的に幸せになってるということはなく、むしろ勝者の方が辛い道を歩んでいます。
そのため、嫌味を感じないストーリーなのも好印象でしたね。

魅力的なキャラによる群像劇


主人公であるペコとスマイルはもちろん、
チャイナやアクマ、ドラゴンといったライバルキャラもしっかり掘り下げられています。
そのためそれぞれのキャラに感情移入でき、優れた青春群像劇になっています。

チャイナ推し


本作で1番好きなキャラはチャイナです。
ただアニメ完結後に原作を読んだところ、チャイナに関してはアニメで大分キャラとして補強されており、原作とアニメで大分印象が異なることが分かりました。

その為、チャイナの良さはアニメ版ならではの魅力と言えます。


表現方法が上手い


本作の映像は動きが凄いというわけではないんですが、
要所をおさえた演出によって、卓球に躍動感がありました。
音がリアルだったのもポイント。

声優さんの演技も自然な感じで良かったと思います。
チャイナの中国語は素晴らしかったです。

話としての完成度が高い

11話と短い本作ですが、原作が全5巻と短いこともあって、
1話ごとにしっかりとしたストーリーがあり、綺麗にまとまっています。

終わり方も綺麗で、作品としての完成度が高いです。

作画

絵柄にクセがありますが、この作画だから良いというのもあると思います。
味があります。


【悪い点】

クセのあるキャラデザ


パッと見でわかると思いますが、キャラデザには癖があります。
そのため、見た目で敬遠してしまう人は多いでしょう。
私自身、次第に慣れはしたものの視聴前は抵抗感がありました。

独特な表現方法

本作の演出は非常に独特であり、人を選ぶ要素になりえそうだなと感じました。
平均的な演出レベルは非常に高いですが、時々過剰演出に感じることもあり、安定感を欠いていたように思います。

特にドラゴン関連の部分で過剰な演出が多かったです。
トレーニングの描写などは一種のギャグとしてアリだと思いましたが、
試合での描写などは、ちょっと合わなかったですね。

そのためドラゴンの試合はどれもいまいちテンションが上がらなかったです。
特にペコvsドラゴンは試合前のやり取りが内容、演出ともに最高だっただけに、非常に残念でした。

百合枝の存在

アニメオリジナル要素として追加されたドラゴンの彼女ですが百合枝ですが、
必要なキャラだったのか少々疑問です。

もちろん百合枝の存在によってドラゴンや真田の掘り下げが深くなった部分もあるので、アニメ単体としてみれば問題はないかもしれません。

ただ、原作からペコ関連の描写がいくつかカットされていることを考えると、
それらを犠牲にしてまで出す必要があったキャラとは思えませんでした。

動きが少ない

本作の作画はこれはこれで良いとは思いますが、
良く動くアニメとは言い難く、不満を持つ人はいるでしょう。

ただ松本大洋の原作自体が、動きのあるタイプの絵ではないため、
原作を尊重している部分もあると思います。


【総評】


個人的には、スポ根アニメの中でも歴代1、2位を争う作品だと思っています。
原作が短いため、1クールという尺の中で話が綺麗にまとまっていて、完成度が高いです。

ストーリーラインは、スポ根として非常に良く出来ています。
才能と真摯に向き合いつつも、才能というものをポジティブな側面から描いていて、この作品ならではのメッセージ性を感じ取ることが出来ました。

キャラクターに関してもそれぞれがしっかりと掘り下げられていて、どのキャラも魅力的でした。
キャラデザには癖がありますが、そこが本作の味でもあったかなと思います。

またアニメ完結後に原作も読みましたが、私はアニメの方が面白いと感じました。
各キャラがより掘り下げられていて、群像劇になっているのが大きかったように思います。

絵柄に抵抗感を感じる人は多いと思いますが、
内容的には多くの人が楽しめるタイプのアニメなはずです。
TAAFアワードを受賞した作品でもあり、世間的な評価もかなり高いです。

スポ根が好きな方は、試しに初めの数話だけでも見てみて欲しいですね。


アニメレビュー一覧はこちらから↓
カテゴリー|アニメレビュー






おまけ 〜チャイナの改変について〜


原作でのチャイナは自分の限界を感じつつも卓球を捨てきれないキャラでしたが、アニメ版でのチャイナは自信家である側面も見せます。

例えば1話でスマイルがチャイナと卓球をすることになった際、
スマイルは「どうせ負けますから」という言葉を発します。

この発言に対して、チャイナは原作だと「どっちがだ?」とコーチに聞いていますが、アニメ版では「どっちがだ!」とスマイルに怒鳴っています。
このシーンだけでも、チャイナというキャラに対する印象は大分変わってきますよね。

また最後のインターハイでの発言も、原作と大きく異なります。

原作では「今の俺では風間には勝てない」と自信を失っていましたが、
アニメでは、「風間に勝ってインターハイの切符をつかみたい」という発言に変化しています。

この改変によって、チャイナはやられ役から、応援したくなる良キャラに飛躍してるんですよね。
もちろん台詞だけでなく、チャイナの高校生活に関する描写も大量に追加されていて、その改変に説得力を与えています。

インターハイでのペコvsチャイナは、もともとはペコの成長を印象づける試合でしたが、チャイナ目線の物語としても非常に楽しめるものになっていました。

チャイナの卓球に対するスタンスを変えたことは、
アニメ版のストーリーの魅力を押し上げたと思います。

スタッフがチャイナを好きだっただけかもしれませんが、
結果的にグッジョブです。



TVアニメ「ピンポン」公式サイト
https://www.pingpong-anime.tv/