2019年11月15日ブログオープン!

レビュー:氷菓【感想・評価】(ネタバレ配慮)

2012年4月から、2012年9月にかけて放送されたTVアニメ、
「氷菓」のレビューです。

※未視聴の方への配慮として、致命的なネタバレは避けています。

概要



【あらすじ】

「青春は、やさしいだけじゃない。痛い、だけでもない。ほろ苦い青春群像劇」

省エネを信条とする高校一年生、折木奉太郎は、ひょんなことから廃部寸前のクラブ「古典部」に入部することに。
「古典部」で出会った好奇心旺盛なヒロイン、千反田える。中学からの腐れ縁、伊原摩耶花と福部里志。
彼ら4人が神山高校を舞台に、数々の事件を推理していく青春学園ミステリ。

「わたし、気になります!」

奉太郎の安穏とした灰色の高校生活は、
この一言で一変してしまった!!

公式サイトより)


評価 77

【氷菓】
~日常アニメの良さとミステリの融合~


ライトな作品でありながら、推理のクオリティは高い!
様々な楽しみ方ができる良質な1作。

本作は米澤穂信さんの小説「古典部」シリーズを、京都アニメーションがアニメ化したものになります。

このアニメの特徴は何といっても、高校を舞台としたごく普通の日常ストーリーの中に、ミステリの面白さを溶け込ませている点です。

そのためこのアニメは、

①日常アニメとしての空気感とキャラの魅力。
②ミステリにおける謎解きの面白さ。

以上の2点が両立しており、そこが作品としての大きな魅力となっています。

この記事ではそんな2つの特徴にも触れつつ、「氷菓」という作品はレビューしていきます。




【良い点】

【ストーリー・キャラ】
日常ものであり、推理ものであるという魅力

まずはこの作品のキモとなる、日常×ミステリの部分に触れていきます。

一般的にミステリといえば殺人事件などを扱っているものが多く、そうした内容の重苦しさから、苦手意識を持っているという人も多いかと思います。

しかしこの作品は、高校生活の中で遭遇するちょっとした謎を解き明かしていくというものなので、気軽に謎解きの面白さを体験できるストーリーに仕上がっています。

 

 

もちろん謎としてのスケールは一般的なミステリと比較するとこじんまりしていて地味ではありますが、ささいな事柄であるからこそ展開がスムーズであり、そこは美点だったと思います。
テンポよく進むため、アニメに適した題材だったと感じました。

例えばTVアニメ「すべてがFになる THE PERFECT INSIDER」は、事件のトリック自体は秀逸であるものの、ひとつの事件に1クール丸々使用しているため、アニメとしてのテンポの悪さは否めない。

もちろん、日常アニメとしての魅力もしっかりと表現できています。

高校生活特有の”青春”の空気感も良かったですし、京アニならではの美麗な作画はさすがとしか言いようがありません。

 

 

またメインキャラクター4人が良い意味でアニメっぽくキャラが立っているというのも、原作がライトノベル(みたいなもの)である強みだったと思います。

お堅い一般小説を読む人であれば分かると思いますが、そういった小説の魅力はあくまでシナリオであり、キャラクターに魅力が無いわけではないものの、アニメキャラのような分かりやすさに欠ける場合が多いです。

実際、一般小説をアニメ化した作品はストーリーが評価されることは多いものの、キャラクターの人気が出ることはあまりありません。

しかし本作の場合であれば、ヒロインである「千反田える」は2012年を代表するヒロインといっても良いくらい人気の出たキャラクターです。
こうした現象は、本作がお堅い本格ミステリであれば起こり得なかったでしょう。

このように本作は日常アニメとミステリアニメの魅力が上手く融合しており、様々な楽しみ方ができる味わい深い作品に仕上がっています。



【ストーリー】
推理の方向性がアニメとしては珍しい

推理を扱った作品はアニメというメディアの中にも数多く存在します。
しかし、私はアニメにおける推理ものにあまり良い印象を持っていません💦

その理由としては、アニメの推理物は閃きや知能ではなく、知識を問うものが多いと感じているからです。
しかし、本作は一味違いました。

それがどういうことなのかを以下で説明していきます。

 

 

例えば、作中の序盤に古典部のメンバーで、「氷菓」という古典部の文集のタイトルにはどういった意味が込められているのかを調べるという出来事がありました。
どういった意味だったかはネタバレになるのでここでは言いませんが、その謎解きは誰でも分かるような英語を使ったものでした。

そのため、オチに対する感想はそれぞれあるとしても「あー、そういうことね」と多くの視聴者は感じたと思います。

しかし、例えばこれが古代エジプト語を使うものだったとしたらどうでしょう。

古代エジプト語なんて視聴者のほとんどが分からないでしょうからそれを使って謎を解いたとしても、共有できていない情報を使用して謎を解いているため、その知識に感心することはあっても「頭いいなー(IQ的な意味で)」とはならないですよね。

TVアニメのミステリは、こういったなんちゃってミステリが多いという印象があります。

 

 

ですが本作は、特殊な知識を使うわけでもなければ、謎を解くための情報を視聴者に対しても平等に提示しているため、主人公である奉太郎の頭のキレをしっかりと表現できています。

そのため、謎としてのスケールは小さくとも、推理物としての完成度はアニメの中ではかなり高いように感じました。



【作画・構成】
単純にアニメとしてのレベルが高い

製作が京都アニメーションという事もあり、作画はTVアニメとして非常に高水準です。
2012年に放送されたアニメではありますが、今でもトップクラスと言えるクオリティだったと思います。

 

 

加えて、京アニは設立当初からカットで空気感やキャラの心情を表現するのが抜群に上手いため、本作も単に絵として綺麗ってだけじゃない魅力のあるアニメーションに仕上がっているなと感じました。

そういった繊細な描写や演出に関しては、全アニメ会社の中でも京アニはトップクラスだと思っています。

また、この作品は原作を丁寧にアニメ化しているため、原作と比較しても決して見劣りしないストーリーに仕上がっています。
原作に忠実だと、間延びしてしまいテンポが悪くなる場合もありますが、そうしたことを感じさせない構成も見事だったと思います。

このように全体的な完成度の高さは間違いないものであり、シンプルにアニメとして高品質です。




【気になった点】

【構成】
終わり方が中途半端

ここからは見ていて気になった点に触れていきます。
まずは、終わらせ方がイマイチだったというのがありました。

原作のある作品の宿命ですが、原作の途中で終わっているため、アニメ単体として考えると終わり方が中途半端だったように思います。

 

 

最終話である「遠回りする雛」は推理の内容もいまひとつであり、最終話に相応しい内容だったのか疑問を感じましたね。

奉太郎とえるの関係性に焦点を当てた話なので悪い終わり方だったとは思いませんが、決してベストではなかったと思います。

とはいえ、次回作の「二人の距離の概算」までやっていたらもっと中途半端になるため、ここで終わりにするしかないわけですが・・・。

「二人の距離の概算」は奉太郎たちが2年生になり、新1年生が入部してくるというエピソード。

と、このように仕方の無いことではあるものの、ひとつのアニメとして考えるのであれば綺麗に終わったとは言い難い部分はあります。



【キャラ・演出】
主人公とヒロインのキャラクター性

まず、私個人としてはメインの4人に対しては割と好感を持っています。
ただ、主人公である折木奉太郎と、ヒロインである千反田えるのキャラクター性は、結構人を選ぶ側面もあるかなと感じたので、その点について述べていきます。

 

 

まず、折木奉太郎。

彼は俗にいう、やれやれ系主人公です。
これだけでもその手の主人公が苦手な人は厳しいかもしれませんが、それ以外にも彼は部活を頑張っている人に対して「エネルギー消費の大きい生き方に敬礼」という、どこか小馬鹿にするような発言をしているんですよね。

奉太郎は別にそういう人たちを見下しているわけではないんですけど(本人も言ってますし)、悪いように受け止める人がいても仕方のない発言ではあります。
そういった態度を不快に思う人は一定数いるでしょうし、万人受けするキャラとは言い難いと思いました。

 

 

続いて、千反田える。

彼女の場合は単純に、「私、気になります」という発言の連呼とその際の顔のドアップがくどい様に感じました。
そこがアニメにおける千反田えるというキャラクターの特徴なのは分かりますが、個人的にはちょっと過剰演出だったように思います。



【ストーリー・演出】
謎解きの地味さは否めない

既に述べたように、私は本作の謎解きに関しては結構高く評価しています。
ただ、一般的なミステリやサスペンスなどとの比較で考えるのであれば、緊張感は皆無な上にインパクトにも欠ける本作の謎解きは、やはり地味ではあるでしょう。

そのため、このアニメをミステリ好きな人が純粋なミステリとして見て満足できるのかといえば、それは怪しいかなと思っています。

あくまで青春群像劇とミステリの融合作品としてのクオリティが高いのであって、純粋なミステリとしてはせいぜい2流といったところではないでしょうか。
アニメの中では良く出来ているものの、過度な期待は禁物だと思います。




【総評】



日常青春アニメとしての、心地よい空気感とキャラの魅力。
ミステリアニメとしての、謎解きの面白さ。

この2つを両立したうえで、それらの魅力を上質なアニメーションで表現することに成功しています。

魅力に溢れた良い意味でライトな作品であり、良質なアニメであることに疑いはありません。

単純にクオリティが高いうえに、日常ものであり、青春ものであり、推理ものであるという多様な楽しみ方ができるアニメなので、幅広い層に受け入れてもらえる作品なのではないかと思います。
特に、日常描写も謎解きもどちらも好きという人であれば、間違いなく楽しめる1作であるはずです。

原作はまだ続いていますがペースが非常に遅い為、残念ながら続編が製作される可能性はかなり低いと思われます。
それでなくても、あの京アニ放火事件で本作の監督さんは亡くなってしまいましたからね・・・。




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TVアニメ「氷菓」
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TVアニメ「氷菓」京アニサイト | 京都アニメーション
http://www.kyotoanimation.co.jp/kotenbu/