2012年7月から、2012年9月にかけて放送されたTVアニメ、
「人類は衰退しました」のレビューです。

【あらすじ】
わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。
すでに地球は❝妖精さん❞のものだったりします。
のんびり、ほのぼ、の・・・・・・?
ちょっぴり不思議でほんの少し不条理な、
そんな物語のはじまりです。
(公式サイトより)

評価 69点
【良い点】
イメージに反して黒い

一見、子供向けのおとぎ話風の本作ですけど、
実際の内容としてはブラックジョークやメタファーなどが多く、
クスリと笑える一方で、少し考えさせられる内容となっています。
世界観はほのぼのとしていて、妖精さんや主人公である「私」も可愛らしいわけですが、ストーリーに関しては黒い部分が多く、そうしたギャップがこのアニメの魅力だったと思います。
ストーリー構成が上手い

原作が完結していない作品を綺麗にまとめるというのは中々難しいわけですが、本作はとても綺麗なラストに仕上がっていて、そこは素直に素晴らしかったと感じましたね。
また、前半にアニメ視聴者がとっつきやすそうな話を持ってきたのも、
個人的な好き嫌いはともかくとして良い構成だったと思います。
主要人物のキャラが立っている
登場人物が少ないからというのもあるでしょうが、メインキャラは皆印象に残るキャラでした。

特に主人公の「私」は、おっとりしているけど腹黒い、しかし人情味はあるといった感じで、中々味わい深い魅力的なキャラだったと思います。
主題歌
主題歌は楽曲自体ももちろん良いと思いますが、それ以上に映像のセンスが秀逸だったように感じました。
特にOPは一度見たら忘れられないくらいインパクトのあるものに仕上がっていてお見事です。
【気になった点】
やや難解
まず、この作品は時系列がバラバラなっているので、
そういうタイプの作品が苦手な人は注意が必要です。

また話の中身に関しても社会風刺的側面がある分、少々難解であったように思います。
私自身「妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ」は、理解が及ばない部分がありました。
安定感に欠ける
本作は1話完結、もしくは2話完結のエピソードで構成されていて、全体的なストーリーの連続性はありません。

加えてエピソードごとにテーマが異なるため、そのテーマに関心を持てるかどうかで印象が変わってくると思います。
私は視聴していて結構面白さにばらつきがあったという感想を持ちました。
一番万人受けしそうなのは、最後の「妖精さんの、ひみつのおちゃかい」でしょうかね。
ドラマ性は低め
最後の2話を除けばこれといってドラマチックな展開はなく、基本的に緩い雰囲気で進行していくことになります。
そのためドラマ性の高いストーリーを好む人や、社会に対する風刺等に興味を抱けない人は、面白さを見出しづらいかもしれません。
【総評】

前情報無しで見たので、1話のインパクトは中々のものでした。
ただ1話が予想以上に良かったためその後の展開への期待値が上がってしまい、最終的に1話がピークだったような印象もあり、そこはちょっと残念。
ほのぼのとした雰囲気と、社会風刺に富んだブラックな内容とのギャップが魅力の作品ですが、扱うネタの幅が結構広いため、視聴者の興味や理解度によって各エピソードの面白さは変わってくると思います。
そういった側面がある上に時系列もバラバラなので、
絵柄に反して意外に人を選ぶ要素は多いアニメだと思います。
ただ、この作品ならではの魅力といったものはしっかりあるため、ハマる人はハマる作品であるのも間違いありません。
独特な作品なので良さを説明するのが難しい部分もありますが、とりあえず完成度は高いです。
ブラックジョークやメタファーが苦手でないのであれば、見て損はないアニメだと思いますよ。
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『人類は衰退しました』公式サイト
http://www.marv.jp/special/jintai/