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レビュー : ヒックとドラゴン 聖地への冒険【感想・評価】

2019年12月20日に公開されたアニメ映画、
「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」のレビューです。


【あらすじ】

「会えば、きっと好きになる。」

かつてドラゴンは人間の敵だった。弱虫のバイキングの少年“ヒック”と、傷ついたドラゴン“トゥース”の活躍で彼らは共存する道を選び、バーク島で平和に暮らしていた。だが、ドラゴンが増え続けたバーク島は定員オーバー!
亡き父の跡を継ぎ、若きリーダーに成長したヒックは、島を旅立ち、みんなと新天地を探し求める決断をする。
目指すはヒックがかつて父から聞いた地図に載らない“幻の聖地”。この場所さえ探し出せれば、きっと平和に暮らせるはずだ。
しかし、大移動の旅の途中、最凶のドラゴンハンター、グリメルに命を狙われ、“トゥース”の前には白い謎のドラゴン“ライト・フューリー”が姿を現す…。
そして彼らが辿り着いたのは、人間は住めないドラゴンたちだけの<隠された王国>だった―!
人間とドラゴンとの共存は、本当に幸せなのか? “ヒック”と“トゥース”は別れる運命なのか?今、彼らの友情が試される―。

公式サイトより)



評価 68

【良い点】

2で広げた世界観を上手くまとめた。

2で大分世界観を広げてしまいましたが、
それを完結編である本作である程度上手くまとめたと思います。
2の内容を前提として考えれば、良く出来ていると感じました。

また、2から登場したヒックの母が、
特に浮くことなくバーク島のメンバーに馴染んでいるのも好印象でした。

空を飛ぶ映像は相変わらず迫力がある。

シリーズを通して言える事ですが、
ドラゴンが空を飛びまわる映像は、迫力があります。
映像的には、間違いなく楽しめる1作です。

トゥースが可愛らしい。

様々な表情や仕草を見せてくれるトゥースは、素直に可愛らしいと思います。
トゥースが好きな人なら、トゥースを見ているだけでも楽しいかもしれません。


【悪い点】

世界観を広げたことの弊害が出ている

「ヒックとドラゴン」の1は、1作の中で綺麗に話が完結しているので、
続編を作るためには、世界観を掘り下げて広げなければいけません。
そのため、2からはバーク島の外の世界も描かれ、3ではその規模がさらに広がっています。

ですが、このように世界観を広げたことの弊害として、
1では考える必要が無かった疑問が、2からは沢山出てきてしまいました。

今作で言うなら、ドラゴンの存在は世界的に認知されているらしいですが、
バーク島の面々とドラゴンハンター達の組織以外がどういうスタンスでドラゴンに接しているのかが示されていないため、モヤモヤします。

作中における一般的価値観が分からないと、善悪の判断をしづらいです。

ハンター達の組織は悪として描かれていますが、
ひょとしたら、ドラゴンを退治してくれる組織として世界中から頼りにされているかもしれないわけで。
実際、作中では敵対勢力はヒック達しかいないような描かれ方でしたしね。

どうして制御の利かないドラゴンを集めているのかも具体的な説明はされていませんし、世界観を広げたものの背景の描写が圧倒的に不足しています。
そして、これは結末にも関係してくることです。

世界の果てにドラゴンの生まれる島があるのは別に良いのですが、
何故そこに移住すれば問題が解決するのかが、良く分からないです。

ヒック達が行けた以上、人間が立ち入ることが不可能な土地というわけでもないはずで、そうなればそのうちドラゴンハンター達にも目を付けられるでしょう。

彼らの組織は作中で壊滅したということなのかもしれませんが、
本拠地を襲撃したというわけではないため、さすがにそれは違和感があります。

仮に壊滅したのだとしても、
それならば、あの結末には何の意味があるのかという話になってしまいます。
また、他にそういった組織は無いのかという疑問も当然浮かびます。

最後のシーンに関しても、ああいった終わり方にしたいというのは分かりますが、それまでの流れを破綻させている印象があります。
あれがヒックの孫とかなら、別に良いと思うんですけど。

以上のように、一つ一つを見れば細かい部分ではあるんですが、
これだけ色々あると、どうしても気になってしまいます。

ファンタジーとメッセージ性の齟齬

1の内容はまさに空想のおとぎ話といった感じで、
非常にシンプルなものでした。

しかし2以降は、ドラゴンを保護しようとする愛護団体、つまりヒック達バーク島の面々と、ドラゴンを敵とみなし利用しているドラゴンハンター達の戦いというストーリーになっていきます。

これに対して個人的な好みになりますが、
私はドラゴンとどう接するべきなのかとか、そういった深みはこのシリーズに必要なかったと思っています。

今作には現実にも当てはまるメッセージ性を感じ取れましたが、
そういうものを押し出す必要があったのか、少々疑問を感じます。

メッセージ性の高い作品はそれはそれで面白いですが、
何も考えずに楽しめる作品も、それはそれで面白いのです。

1を見た際に感じた、単純明快を極めた面白さを、
残念ながら今作には感じられませんでした。


【総評】

映画「ヒックとドラゴン」シーリーズの完結編という位置づけの作品。

内容としては良い出来であり、
2で広げた世界観をある程度綺麗にまとめたように思います。

ドラゴンが空を飛ぶシーンなどは相変わらず迫力があり、映画としての見応えもあります。
また、トゥースの可愛らしいシーンも満載で、
トゥースが好きな方であれば、これだけで満足できるかもしれません。

話としての見所もしっかりとあり、最後は感動的です。
そのため、面白いと感じる人も多いはずです。

ただ、個人的な好みとしてはあまり好きではありません。
理由は、世界観が広がったことに好印象を抱けないからです。

私はこのシリーズの1に関しては、
海外アニメの中でも最高傑作のひとつだと思っています。

それは、小さな小島に住むバイキング達とドラゴンの関係という、非常にシンプルな物語でありながら、最新の映像とレベルの高い演出に支えられることによって、古き良き王道のおとぎ話として、とても面白い作品に仕上がっていたからです。

しかし1で綺麗にまとまったストーリーを続けるために、世界観を広げる必要性が生じ、2からは1と少々異なる方向性の作品になってしまったように思います。

ドラゴンとどう生きるべきなのかとか、そういう事を描くのは全然良いと思います。
ただ私が1に惹かれたのは、そういう部分に対してではないんですよね。
要するに、コレジャナイ感が強いんです。

また、世界観を広げる事自体は別に良いと思うのですが、
元々の世界観が非常にシンプルなだけに、
気になる点が多々生まれてしまったように思います。

そうした要素が相まって、個人的にはイマイチ夢中になれませんでした。
とりあえず、1は好きだけど2は微妙だったという人は、注意した方が良いと思います。

1から3まで全て劇場で見ましたが私の意見としては、
2と3は蛇足、「ヒックとドラゴン」は1だけで良い、という感じです。



映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』公式サイト
https://gaga.ne.jp/hicdragon/