2011年4月から、2011年6月まで放送されたTVアニメ、
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のレビューです。

【あらすじ】
「いつだって、いつまでだって、なかよしなんだ」
昔は仲良しだった幼馴染たち。
でも、高校生になった彼らの距離はいつの間にか離れてしまっていた。
ヒキコモリぎみの主人公“じんたん”。
ギャル友達に流され気味の“あなる”。
進学校に通う“ゆきあつ”と“つるこ”。
高校に進学せず旅を重ねる“ぽっぽ”。
そして、仲良しだった小学生の頃から、
それぞれが変わっていく中で変わらない少女“めんま”。
ある日、“お願いを叶えて欲しい”とじんたんにお願いをするめんま。
困りながらも“めんまのお願い”を探るじんたん。
そのめんまの願い事がきっかけとなり、
それぞれの領域でそれぞれの生活を送っていた幼馴染達は
再びかつてのように集まりはじめる。
(公式サイトより)

評価 78点
【良い点】
泣けるストーリーに仕上がっている
まず設定からして、
一人の少女の死によって疎遠になったメンバーが、少女の幽霊が現れたことで再び集まる・・・という泣かせる気満々なもの。
そしてそれを演出の力によって、実際に泣けるストーリーに仕上げています。
涙脆い方であれば、最終回は涙腺崩壊必至です。

また、EDに「secret base」を採用したのは反則だと感じました(笑)。
EDへの入り方も抜群に上手く、曲の力を最大限に活用できていたと思います。
キャラクター同士の関係性
昔仲良かった幼なじみ達が再び集まるうえで、
時の流れと各々の変化によるギクシャク感を上手く表現できていたように思います。

またそれぞれの好意のベクトルが噛み合っていないというのも、リアリティがあって好印象でした。
ノスタルジーを感じる作風
本作が放送されたのは2011年。
EDの「secret base」はその10年前の2001年にヒットした曲であり、その歌詞には「10年後の8月また出会えるのを信じて」という一節があります。
このことから分かるように、本作は作中のキャラと同様に放送開始の10年前に子供だった世代を強く意識した作風になっています。

ポケモン金・銀をモチーフにしたゲームなど懐かしさを感じられる小物がいくつか登場し、世代の人はノスタルジックな気分になれるはずです。
OP・EDが共に作品に合ってる
どちらの曲も内容に合った良い曲だったと思います。
特にED。

ED曲の「secret base ~君がくれたもの~」は元々ZONEがリリースした曲ですが、その歌詞とタイトルに内容がマッチしている点や、歌詞の内容を意識した時期に放映されたことを考えても、
この曲を意識して本作が作られたのは間違いないでしょう。
EDは物語を盛り上げる上で、非常に重要な役割を果たしていました。
若干ズルい気はしますが。
1話のクオリティが高い
1話はその内容とEDへの入り方まで完璧に近かったように思います。
リアルタイムで見た人は次回が待ち遠しかったことでしょう。
【悪い点】
冗長なストーリー構成

各エピソードに焦点を当てれば、それぞれしっかり内容のある面白い話だったと思いますが、
全体的に見るとこれといった山場の無い平坦なストーリーで、少々中だるみを感じてしまう構成でした。
演出に乗れるかが重要
本作は「泣けるアニメ」ですが、明らかに泣かせにいっているので、
その演出に乗れるかどうかで大分印象が変わってくると思います。
純粋な人間ドラマとして見た場合、そこまで優れたシナリオというわけでもないため、素直に感動できるかどうかが非常に重要です。
演出に乗れない人は逆に嫌悪感を覚えてしまい、あまり楽しめないかもしれません。

個人的に最終回は感動しましたけど、Aパートに関してはやりすぎだったように思います。
溜め込んでいたものを吐き出すにしても、もう少しやり様があった気がします。
めんまのキャラクター性
メインヒロインであるめんま(幽霊)は見かけは成長しているものの、
中身は当時のままなので非常に幼く、率直に言えばロリキャラです。

設定的に納得は出来ますが、
明らかな萌えキャラである彼女は、少々浮いていたように思います。
私としてはあまり良い印象を持てませんでした。
めんまの存在証明に関して
本作においては、めんまは物理的な干渉が出来るという設定です。
それなら、もっと早い段階で皆にめんまの存在を証明することは可能であったように思います。
もちろん作中でゆきあつが指摘したことが理由なのでしょうが、
実際にじんたんがしていた言動や行動から考えると、違和感を感じずにはいられません。
とある人物の異常性
中盤辺りでとあるキャラが異常な行動を起こします。
あまりにも奇妙な行動なのでネタとして好意的に捉える人もいるかもしれませんが、私としてはただ単に理解できないだけで、マイナスでしかなかったです。
【総評】

「泣けるアニメ」2010年代代表。
他のもそういったアニメはありましたけど、人気や知名度を考えると本作が一番かなと感じます。
そういうタイプの作品が好きな方には、おススメできます。
とにかく1話目から名作臭を漂わせていましたね。
初っ端から「これは絶対に面白くなるぞ」と感じてしまう内容で、一気に引き込まれてしまいました。
そしてその期待は裏切られることなく、完結を迎えることになります。
特に雰囲気の作り方がずば抜けて上手かったです。
EDに「secret base ~君がくれたもの~」を採用したのも非常に効果的でした。
一方で、お話としての面白さはそこまでではないかなという印象です。
メインキャラクター達の関係性は面白みのあるものでしたが、
そこがメインではないためあまり深くは描かれてなく、純粋な人間ドラマとしては少々物足りなかったです。
また、めんまの存在が皆に認知されるのが終盤なのでいささか冗長さもあり、ストーリーに関しては気になる部分がいくつかありました。
私は泣かせにかかる演出に乗れたため満足度は高いですが、泣けるアニメが好みでない方が青春ものとして見て満足できるかは、ちょっと分からないです。
ただ、ノスタルジックな雰囲気作りが抜群に上手いアニメなので、
GB~GBAあたりの世代の方は、一見の価値があると思います。
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あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。|アニメ公式サイト
https://www.anohana.jp/tv/